【ウッドハウス】英国で愛される、執事のジーヴスシリーズが最高

 

f:id:pro-log:20131210112800j:plain

 

 

ジーヴスシリーズは、P・Gウッドハウスが書いた20世紀前半のイギリスを舞台にしたコメディ小説でこれが超おもしろい。初めて書かれてからもう100年ほどの歴史があって、英国ではシャーロック・ホームズ級に国民に愛されてる。

実際には、ものすごく面白いってわけじゃないんだけど超好き。中毒性がある。全編を通してハッピーで華やかで軽い感じが、読んでるだけで幸せになる。

 

内容はお気楽な独身貴族バートラム・ウースター(バーティー)と超有能な執事ジーヴスのコンビのドタバタコメディなんだけど、とりあえずバーティーがトラブルに巻き込まれてスープに浸かる(追い込まれる)のをジーヴスが華麗に救いだすという黄金パターンを毎回繰り返す。

 

これが完璧なワンパターンにして最高のワンパターンなんだ。

 

昔は、ワンパターンのテンプレ作品なんて好きじゃなかったけど、ジーヴスシリーズに出会ってから偉大なるマンネリの良さがわかった。

「そうそう、これこれ、この感じ」を脳が欲しがって、楽しい状態を追体験したがるみたいな。そしてそれに答えてくれるジーヴスシリーズはありがたい。

 

ジーヴスはなんでも知ってる。彼はスピノザとトランプのブリッジを愛し、シェイクスピアを引用し、時には敵をぶん殴ってバーティーに尽くす。封建精神あふれるばかりだ。

みんながみんなジーヴスをたよりに相談を持ちかけ、ジーヴスは全部解決する。最高の知能を持った灰色の脳細胞がぎっちり詰まった頭を持ってる上、彼は魚をどっさり食べているからな。

 

ジーヴスは古き良き 執事だけどちょっぴり服のセンスは保守的で、斬新な服やネクタイをしたがるバーティーと静かな戦争になる。まぁバーティーがダサいんだけど。

ジーヴスがゴタゴタを解決した後、ご褒美にバーティーのダサい服を処分するなんてまさに執事の鏡。

それだけじゃなくジーヴスはトラブルを解決するためにはバーティーを犠牲にしたり、ちゃっかり自分がバカンスへ行きたい場所へバーティーが行かざるを得ないようにしたりとクレバーな感じが最高。

 

物語は基本的にバーティーの独り語りで進む。彼は非常に愛すべき人物だ。基本的にお人好しでうすのろな間抜けちゃん(叔母談)、無くなった両親からわんさか遺産を残された上流階級の青年で基本暇人。口癖は「よしきた、ホーだ!」

彼は聖書の知識のテストで一番になったこともあるし、「おしゃれな人は今何を着ているか」の論評を雑誌に寄稿したこともある。

フローレンス・クレイやマデライン・バセット等の残念美人から望まない結婚をさせられそうになり、それをギリギリでかわす生活を続けてる。

 

こうやって文章でみるとマジでうらやまなんだけど。

まぁバーティーだしいいや。

 

シリーズを通して個人的に一番好きなのはバーティーと天敵グロソップ卿との間に芽生える友情かな。しかも、ウッドハウスは超いい加減な人なので、1回友達になったのが、無かった事にされて2回も友達になるというゆるさっぷり。

 

ジーヴスシリーズはウッドハウスのライフワーク作品で、それこそ若い時から亡くなる直前まで何十年も書いてたので設定や人物名とか微妙に変わってしまったりするのも味の内です。

 

日本版では2000年代に全14巻がウッドハウス・コレクションとして刊行されてるんだけど、翻訳が良いおかげで超フレッシュで現代的な文章になってて、数十年前の作品とは思えないほどすっごい読みやすい。ラノベより読みやすい。翻訳の森村たまきさんありがとう。

 

これからジーヴスシリーズを読んでみたいって人はまず短篇集がおすすめ。基本的に

短篇集で出てきたメンバーが長編にでてくる感じなので。

 

■比類なきジーヴス 

 

 

ウッドハウスコレクションのジーヴスシリーズの難点は、本の装丁が全部同じ、色違いで内容も同じようなのばかりのため、自分が読んだか読んでないか一瞬わからなくなるとこかな。

 

 

まぁそんなのは些細なことだ

あげひばり名乗りいでー ってやつだ。

ジーヴス。続きは何ていうんだっけ?教えてくれ。